おれのおやじ。

それどこ大賞「買い物」

私の父親は製茶問屋を経営してました。
7年前に父は他界し、私が後を継ぎ、静岡で小さな茶問屋を営んでおります。
そんな父親の思い出話を書こうと思います。
茶問屋の仕事は、商品の原料となる「荒茶」を農家さんから仕入れて、その荒茶を製造加工し火入れをして全国各地の小売屋さんなどに商品を卸す仕事が主な仕事となります。
少しでもお客様に安くて美味しいお茶を届ける為に農家さんと値段の交渉をするのですが、その値段の交渉がなかなかセコイ。
『あと50円、いや10円でもいいから負けてくりょ』※くりょ(静岡弁)←下さい。の事。
と、仕入れる荒茶はすべて少しでも安くなるように交渉しまくります。
なので、職業柄でしょうか何処へ行っても値切るのです!
そんな父親と私が中学の時、買い物に行った時の出来事です。
私はGジャンが欲しく、今でいうセレクトショップに父は連れていってくれました。
いろいろと試着し、気に入ったGジャンを購入する時、まさかとは思ったのですが、
でました!交渉タイム…
子供ながらこんな店で値切ろうとする父親に恥ずかしさを覚えました。
店員さんも『うちはそういう店ではないので…』と
父親は『最後の端数だけても取ってくりょ』とバリバリの静岡弁で交渉。
おやじの勝ちで端数を引いた金額でGジャンをゲットしました!
楽しい買い物に勝ったも負けたも無いとは思いますが…
なぜかそのGジャンが捨てられず今でもクローゼットに掛けてあります。
そのGジャンを見るたびに今でもその時の光景が思い出されるのであります。
そして今では私が荒茶を購入する時に
『あと10円でもいいから負けてよ~』
とセコイ値段の交渉をするのでありました。